契約不適合責任とは?個人の売主が負う範囲と通知期間、免責特約が効かない場面

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この記事のポイント

  • 契約不適合責任は、引き渡した物が契約の内容と違っていたときに、売主が買主に対して負う民法上の責任です
  • 買主は、追完・代金減額・損害賠償・解除を求められます(民法第562条〜第564条)
  • 種類・品質の不適合は、買主が知ってから1年以内に通知しないと請求できません(第566条)
  • 個人の売主は責任を負わない特約を結べますが、知りながら告げなかった事実は免れません(第572条)
  • 宅建業者が売主なら、引渡しから2年以上とする特約を除き、買主に不利な特約は無効です(宅地建物取引業法第40条)

個人が自宅を売る場合も、売主は契約不適合責任を負います。引き渡した物が種類・品質・数量に関して契約の内容と違っていれば、買主は修補や代金の減額などを求められます。ただし責任の範囲は契約の特約で決められ、売主が個人か宅建業者かで変えられる範囲が違います。

いつか売るときに慌てないよう、この記事では、買主が請求できる4つのこと、通知の期間、特約で決められる範囲、特約が効かない場面を条文にもとづいて整理します。

契約不適合責任とは:買主が請求できる4つのこと

民法第562条は、引き渡した物が種類、品質、数量に関して契約の内容に合わないとき、買主が売主に請求できることを定めています。4つの請求は、使える条件がそれぞれ違います。

請求内容使える条件
追完(第562条)修補、代わりの物や不足分の引き渡し不適合が買主の責任で生じたものでないこと
代金減額(第563条)不適合の程度に応じた代金の減額期間を決めて追完を求め、その期間内に追完がないこと(修補できない場合などは催告不要)
損害賠償(第564条・第415条)生じた損害の賠償売主の責めに帰することができない事由によるものでないこと
解除(第564条・第541条・第542条)契約をなかったことにする催告しても履行がないこと(不履行が軽微なら不可)。追完が不能な場合などは催告不要

土地の一部が他人のものだった場合など、移転した権利が契約に合わないときも、同じ規定が準用されます(第565条)。

売主が選べる余地もあります。買主に不相当な負担を課さなければ、売主は買主が求めた方法と違う方法で追完できます(第562条第1項ただし書)。

通知の期間は「知ってから1年」

種類や品質の不適合は、買主がそれを知った時から1年以内に売主へ通知しないと、4つの請求ができなくなります(第566条)。期間の起点は引き渡しの日ではなく、買主が不適合を知った時です。

通知の後の請求権は、債権の消滅時効(第166条:権利を行使できると知った時から5年、行使できる時から10年)の対象になります。実際の契約では、個人の売主は特約で期間を短く定めることもあるので、契約書の条項を確かめてください。

売主が個人か宅建業者かで変わる特約の範囲

契約不適合責任を免除する特約は、原則として有効です。ただし売主がだれかによって、法律が特約を制限する場面があります。

売主買主責任を免除・短縮する特約
個人個人・事業者結べる。知りながら告げなかった事実は免れない(民法第572条)
宅建業者宅建業者以外通知期間を引渡しから2年以上とする特約を除き、民法第566条の定めより買主に不利な特約は無効(宅地建物取引業法第40条)
宅建業者宅建業者第40条は適用されない(宅地建物取引業法第78条第2項)
事業者消費者損害賠償の責任を全部免除する条項などは無効。追完や代金減額の責任を負う定めがある場合などは例外(消費者契約法第8条)

個人が自宅を売る契約は、宅建業者が仲介に入っても表の1行目に当たります。住宅金融普及協会の解説も、免責特約を原則有効としたうえで、民法第572条・宅地建物取引業法第40条・消費者契約法で無効になる場面を挙げています。

不動産会社に買い取ってもらう場合も、売主が個人なら同じ考え方です。宅地建物取引業法第40条の制限は宅建業者が売主のときの定めなので、会社が買主になる買取には当てはまりません(買取の仕組みと仲介との違いは「マンションの買取とは?」)。

免責特約が効かない場面と、売る前にできること

特約で責任を免除しても、売主が知りながら告げなかった事実と、自分で第三者のために設定したり譲り渡したりした権利については、責任を免れません(民法第572条)。知っている雨漏りや設備の故障は、契約前に買主へ書面で伝えておくことが、後の争いを避ける手段の一つです。

国土交通省によると、2024年4月の標準媒介契約約款の改正で、建物状況調査が瑕疵の有無を判定するものではないといった限界も明記されました。調査の結果は、売買契約書に書く「当事者の双方が確認した事項」を考えるときの材料の一つになります。

「現況のまま引き渡す」と書いた場合も、責任を負わない特約として有効になりうるものの、知りながら告げなかった事実には効きません。文言がどこまでの責任を免除するものか、個別の契約書は宅地建物取引士や弁護士に確認してください。

買主から修補を求められたら

通知を受けた日と内容を記録し、契約書の特約と、不適合を知っていたかどうかを整理します。請求に応じるかどうかの判断は、宅地建物取引士や弁護士に相談してください。

まとめ:契約不適合責任は、特約と通知期間を契約書で確かめる

  • 個人の売主も、民法第562条〜第564条の追完・代金減額・損害賠償・解除の対象になる
  • 種類・品質の不適合は、買主が知ってから1年以内の通知が必要
  • 個人の売主は免責の特約を結べるが、知りながら告げなかった事実は免れない
  • 宅建業者が売主のときは、宅地建物取引業法第40条で買主に不利な特約が制限される

いつか売るときに備えて、暮らしていて気づいた不具合は、気づいた時点で書き留めておくと伝え漏れを防げます。売却を依頼するときは、建物状況調査のあっせんを受けるかを決め、特約の文言に迷ったら署名する前に宅地建物取引士や弁護士に確認してください。住みながら売るか空けてから売るかで不具合の把握のしかたが変わる点は「住みながら売るか、空けてから売るか」で、契約時の手付金は「不動産売買の手付金」で説明しています。

参考にした資料

※ 2026年9月14日に確認した条文にもとづく一般的な説明です。個別の契約書の解釈は宅地建物取引士や弁護士にご確認ください。

よくある質問

Q個人の売主は、引き渡しから何年まで責任を負いますか?
A民法第566条の通知期間は、引き渡しの日からではなく、買主が不適合を知った時から1年です。請求権は別に消滅時効(第166条)にもかかります。個人の売主は特約で期間を短くできるので、自分の契約書の条項を確認してください。
Q「現況のまま引き渡す」と書けば、責任を負わずに済みますか?
A責任を負わない特約として有効になりうるものの、知りながら告げなかった事実には効きません(民法第572条)。文言がどこまでの責任を免除するものか、個別の契約書は宅地建物取引士や弁護士に確認してください。
Q不動産会社に買い取ってもらう場合も、同じ考え方ですか?
A売主が個人なら同じです。宅地建物取引業法第40条の制限は宅建業者が売主のときの定めなので、会社が買主になる買取には当てはまりません。
Q買主から修補を求められたら、どうすればよいですか?
A通知を受けた日と内容を記録し、契約書の特約と、不適合を知っていたかどうかを整理します。請求に応じるかどうかの判断は、宅地建物取引士や弁護士に相談してください。

サムネイルのイラストは AI で生成したイメージです

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