投資用マンション売却の注意点|入居中のまま売るか・サブリースの解約・税金の計算

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この記事のポイント

  • 入居者がいるまま売ると、貸主の立場と敷金を返す義務は買主に移ります
  • 退去してから売るなら、普通借家では貸主から更新を断るのに正当の事由が要ります
  • サブリース(マスターリース)契約中は、オーナーからの解約に正当事由が必要になることを国土交通省が注意喚起しています
  • 建物の取得費は減価償却費相当額を引いて計算し、税率は売った年の1月1日時点で所有5年を超えるかで変わります

貸している部屋を、いつか売るかもしれない。投資用マンションの売却で注意したいのは、入居者との賃貸借契約、サブリース契約、税金の計算の3つです。住んでいる自宅を売る場合と違い、借主やサブリース会社との契約が売却の進め方を左右します。

売り時や価格の見通しは物件ごとに違うため、ここでは扱いません。売り出す前に契約書と取得時の書類で確かめる点を、法律の条文と国土交通省・国税庁の案内に沿って並べます。

投資用マンションを売る前にそろえる書類

最初に、今の契約と取得時の数字を手元にそろえます。査定を頼む不動産会社にも同じ書類を見せて、条件を伝えます。

  1. 1賃貸借契約書を確かめる普通借家か定期借家か、契約期間、家賃、敷金の額を書き出す。定期借家なら満了日と、貸主が終了を通知する時期も確認する。
  2. 2サブリース(マスターリース)契約書を確かめるサブリース会社に貸している場合は、契約期間、家賃の見直しの条件、解約の条件と申し出の時期を読む。
  3. 3購入時の売買契約書と償却の記録をそろえる購入代金と購入手数料、これまでの確定申告で計上した減価償却費を集める。譲渡所得の取得費を出すのに使う。
  4. 4管理規約と修繕の記録を集めるマンションの管理規約や、管理組合の修繕積立金の状況が分かる書類をそろえる。

売却全体で使う書類の一覧は「不動産売却の必要書類」にまとめています。

入居中のまま売るか、退去後に売るか

入居者がいるまま売る方法は、一般にオーナーチェンジと呼ばれます。どちらで売るかによって、借主との関係がどう動くかが変わります。

比べる点入居中のまま売る退去してから売る
貸主の立場引渡しを受けた借主がいれば、買主に移る(民法第605条の2、借地借家法第31条)賃貸借が終わっているので引き継ぐものはない
敷金を返す義務買主が引き継ぐ(民法第605条の2第4項)退去時に、未払いの家賃などを差し引いて借主へ返す(民法第622条の2)
借主に出てもらう条件―普通借家は、更新を断るのに正当の事由が要る(借地借家法第28条)。定期借家は期間の満了で終わる
立退料―借家人に払った立退料は譲渡費用になる(国税庁No.3202)
家賃収入引渡しまで続く退去から売却までは入らない

貸主の立場の移転を借主に主張するには、所有権の移転の登記が必要です(民法第605条の2第3項)。

入居中のまま売ると、買主は家賃を受け取る前提で検討します。敷金を代金とどう精算するか、家賃を日割りで分けるかは、売買契約書で決めておきます。貸主の立場が買主に移ると家賃の振込先や敷金の扱いが変わるため、借主への通知の方法と時期は、売買契約と管理会社の手続きにあわせて不動産会社と決めます。

普通借家と定期借家の違いは「マンションは売るか貸すか?」でも説明しています。

サブリース契約中は解約の条件を先に読む

サブリースは、サブリース会社がオーナーから部屋を借り上げ、入居者に又貸しする仕組みです。国土交通省は、この借り上げの契約をマスターリース契約(特定賃貸借契約)と呼び、賃貸住宅の賃貸借契約の一種として扱っています。

売るために契約を終わらせたい場合でも、オーナーの側から一方的に解約できるとは限りません。契約を引き継いだまま売るか、解約の協議をするかは、契約書の条項を示してサブリース会社と不動産会社に相談し、判断が難しければ弁護士に確認してください。

税金は取得費と所有期間5年で変わる

投資用マンションを売って利益が出れば、譲渡所得として給与などと分けて税金を計算します(分離課税)。国税庁No.3202は、譲渡所得を売った金額から取得費と譲渡費用を差し引いて計算するとし、建物の取得費は所有期間中の減価償却費相当額を差し引いて計算するとしています。

区分売った年の1月1日時点の所有期間税率
長期譲渡所得(No.3208)5年超所得税15%、住民税5%
短期譲渡所得(No.3211)5年以下所得税30%、住民税9%

所得税には、所得税額に2.1%を掛けた復興特別所得税もかかります。令和8年度税制改正で、令和9年(2027年)1月1日以後に生ずる所得からは、復興特別所得税が1.1%(令和29年まで)に下がり、新たに防衛特別所得税(1%)がかかります。国税庁は、合計の税率2.1%は改正の前後で変わらないとしています。

減価償却費を経費にしてこなかった場合も、建物の取得費は所有期間中の減価償却費相当額を差し引いて計算します。これまでの申告の内容で計算が変わるので、税務署か税理士に確認してください。売って損が出た場合の扱いも個別の要件で変わるため、税務署に確認します。計算の基本と概算取得費は「マンション売却の税金はいくら?」で説明しています。

まとめ:投資用マンションは契約書と取得費を先に確かめる

  • 入居中のまま売ると、貸主の立場と敷金を返す義務が買主に移る
  • 退去してから売るなら、普通借家では正当の事由が要り、立退料は譲渡費用になる
  • サブリース契約は、オーナーからの解約に正当事由が必要な場合がある
  • 建物の取得費は減価償却費相当額を引き、所有期間は売った年の1月1日時点で数える

賃貸借契約書・サブリース契約書・購入時の売買契約書をそろえ、所有期間が5年を超える年を数えておくと、売ると決めたときに不動産会社へ条件をすぐ伝えられます。

参考にした資料

※ 2026年10月27日に確認した資料(税は令和8年4月1日現在の法令等)にもとづく一般的な説明です。契約の解釈は弁護士に、個別の税額は税務署・税理士にご確認ください。

よくある質問

Q入居者に、部屋を売ることを知らせる必要はありますか?
A入居中のまま売ると貸主の立場が買主に移るため、家賃の振込先や敷金の扱いが変わります。借主への通知の方法と時期は、売買契約と管理会社の手続きにあわせて不動産会社と決めてください。
Q減価償却費を経費にしてこなかった場合、取得費はどうなりますか?
A建物の取得費は、所有期間中の減価償却費相当額を差し引いて計算します。これまでの申告の内容で計算が変わるので、税務署か税理士に確認してください。
Q売って損が出た場合、給与と相殺できますか?
A土地や建物の譲渡所得は、ほかの所得と分けて計算する分離課税です。損失の扱いは個別の要件で変わるので、税務署に確認してください。

サムネイルのイラストは AI で生成したイメージです

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