この記事のポイント
- 一括査定のデメリットは、複数社からの連絡・個人情報の提供先の多さ・査定額の差の3つです
- 個人データを第三者に渡すには、原則として本人の同意が必要です(個人情報保護法第27条)
- 送信する前に、情報を受け取る会社の一覧と利用目的を読んでから同意します
- 契約しない意思を示した相手への勧誘の継続は、宅地建物取引業法の施行規則で禁じられています
- 査定額は売れる価格の約束ではなく、会社には価額の意見の根拠を示す義務があります
「いくらで売れるか知りたいだけなのに、一括査定を使ったら電話が続いた」。まだ売ると決めていない人ほど、この負担は重く感じます。一括査定のデメリットは、一度の入力で複数の不動産会社に情報が届く仕組みから生まれます。
どれも、入力する前の確認と、査定額の根拠の聞き方で負担を減らせます。この記事では、個人情報保護法の同意と、宅地建物取引業法の勧誘のルール・価額の根拠を示す義務を手がかりに、一括査定と個別に頼む方法の違いを整理します。
不動産一括査定の4つのデメリット
一括査定サイトは、入力した物件と連絡先の情報を、複数の不動産会社に届けて査定を頼む仕組みです。デメリットごとに、起きる理由と入力前にできることを並べました。
| デメリット | 起きる理由 | 入力前にできること |
|---|---|---|
| 複数社から電話やメールが来る | 情報を受け取った各社がそれぞれ連絡する | 連絡方法の希望欄があれば書き、送る会社の数を絞る |
| 個人情報が複数社に渡る | 同意した範囲で各社へ提供される | 提供先の会社名と利用目的を読む |
| 査定額の差に引っぱられる | 会社ごとに取引事例や評価の判断が違う | 金額でなく根拠を聞く前提で頼む |
| 机上の金額だけで判断しやすい | 最初の金額は現地を見ずに出ることがある | 売り出す前に訪問査定を頼む時期を決める |
入力できる項目や、送る会社を選べるかはサイトによって違います。
個人情報は同意した範囲で複数社に渡る
個人情報保護法第27条第1項は、法令に基づく場合などを除き、あらかじめ本人の同意を得ないで個人データを第三者に提供することを禁じています。一括査定で情報が複数社に届くのは、送信の画面で提供に同意しているためです。
個人情報保護法第35条は、利用する必要がなくなった場合などに、本人が利用停止や消去を請求できると定めています。売却をやめて各社が情報を使う必要がなくなったときなどは、その会社の窓口に利用停止を求められます。
営業の電話を断るときに知っておきたいルール
宅地建物取引業法第47条の2と施行規則第16条の11は、不動産会社が宅地建物取引業に係る契約の締結を勧誘するときの禁止行為を定めています。
断るときは、会社名と担当者名を確かめたうえで「依頼しないので、今後の連絡は不要です」と伝えます。個別の連絡がこのルールに当たるかは状況によるため、困ったときは消費者ホットライン(188)で近くの消費生活センターを案内してもらえます。
査定額の差は根拠で比べる
媒介契約書には、物件を「売買すべき価額又はその評価額」を書きます(宅地建物取引業法第34条の2第1項第2号)。この価額に意見を述べるとき、不動産会社はその根拠を明らかにしなければなりません(同条第2項)。
一括査定でいちばん高い金額を出した会社が、その金額で売れると約束しているわけではありません。査定書を受け取ったら、使った取引事例の時期と場所、評価を上げ下げした点を聞き、国土交通省の不動産情報ライブラリで調べた周辺の取引価格と並べます。
会社ごとに金額が違うのは、比べる取引事例の選び方や、物件の評価の判断によって金額が変わるためです。不動産流通推進センターの価格査定マニュアルは、戸建住宅は原価法、マンション・住宅地は事例比較法で査定する仕組みです。
一括査定と個別に頼む方法の違い
査定の頼み方は、一括査定サイトを使うか、自分で選んだ会社に個別に頼むかに分かれます。どちらでも、会社に価額の根拠を示す義務がある点は同じです。
| 比べる点 | 一括査定サイト | 自分で個別に頼む |
|---|---|---|
| 入力の手間 | 一度の入力で複数社に届く | 会社ごとに連絡する |
| 連絡が来る会社 | 情報を送った会社の数だけ | 自分が頼んだ会社だけ |
| 個人情報の提供先 | サイトの同意画面に書かれた会社 | 自分が連絡した会社 |
| 会社の選び方 | サイトに参加している会社から選ぶ | 免許や実績を自分で調べて選ぶ |
| 査定額の根拠 | 各社に聞く(義務は同じ) | 各社に聞く(義務は同じ) |
不動産会社の免許は、国土交通省の建設業者・宅建業者等企業情報検索システムで調べられます。
連絡の数を抑えたいなら個別に、候補の会社を知らない段階なら一括査定で数社に絞る、という使い分けもできます。どちらの頼み方でも、最後に1社を決めるときは免許・処分歴・根拠の説明で比べます。
まだ売る気がないなら、連絡先を渡さない方法から
売るかどうか決めていない段階で知りたいのは、たいてい「だいたいいくらか」です。ナラウルのカチミルは、国土交通省の実際の取引データから AI が参考価格を出す無料の査定で、結果を見るのに不動産会社へ連絡先を渡す必要はありません。売ると決めて紹介を希望したときだけ、提供先の会社名と渡す項目を確認して同意したうえで、提携の不動産会社に情報をお渡しします。
まとめ:一括査定は、同意の範囲と根拠の聞き方を決めてから使う
- デメリットは複数社からの連絡・個人情報の提供先の多さ・査定額の差
- 個人データの第三者提供には、原則として本人の同意が必要
- 契約しない意思を示した相手への勧誘の継続は、施行規則で禁じられている
- 査定額に意見を述べる会社には根拠を示す義務があり、その費用は請求できない
送信する前に、情報を受け取る会社の一覧と利用目的を読んでください。査定書が届いたら、使った取引事例と評価の理由を各社に聞き、媒介契約の種類は「マンション査定の方法と流れ」で確かめてから依頼先を決めます。
参考にした資料
- 個人情報の保護に関する法律 第17条、第21条、第27条、第35条(e-Gov 法令検索)
- 個人情報保護委員会「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)」(令和8年6月一部改正)
- 宅地建物取引業法 第34条の2、第47条の2(e-Gov 法令検索)
- 宅地建物取引業法施行規則 第16条の11(e-Gov 法令検索)
- 国土交通省「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」(令和8年4月1日施行版)
- 公益財団法人不動産流通推進センター「価格査定マニュアル」
- 国土交通省「不動産情報ライブラリ」
- 国土交通省「建設業者・宅建業者等企業情報検索システム」
- 消費者庁「消費者ホットライン」
※ 2026年9月15日に確認した資料にもとづく一般的な説明です。一括査定サイトの仕組みや同意の範囲はサイトごとに異なります。
よくある質問
- Q一括査定を使ったら、どこかの会社と契約しなければいけませんか?
- A査定を頼むことと、媒介契約を結ぶことは別の手続きです。媒介契約は、結んだときに不動産会社が書面を作って依頼者に交付する契約なので(宅地建物取引業法第34条の2第1項)、依頼する会社を決めてから結びます。
- Q査定にお金はかかりますか?
- A国土交通省の「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」は、媒介価額の意見の根拠を示すための査定の費用は依頼者に請求できないとしています。不動産鑑定士に鑑定評価を頼む場合は、これとは別の手続きです。
- Q査定額が会社ごとに大きく違うのはなぜですか?
- A比べる取引事例の選び方や、物件の評価の判断によって金額が変わるためです。不動産流通推進センターの価格査定マニュアルは、戸建住宅は原価法、マンション・住宅地は事例比較法で査定する仕組みです。
- Q1社に絞ったら、ほかの会社には連絡したほうがいいですか?
- A依頼しない会社には、今後の連絡が不要と伝えておくと、その後のやり取りが減ります。専任媒介契約を結ぶ場合、有効期間は3か月が上限です(宅地建物取引業法第34条の2第3項)。
サムネイルのイラストは AI で生成したイメージです







