この記事のポイント
- 賃貸の仲介手数料の上限は、貸主と借主から受け取る額の合計で家賃1か月分 + 消費税(家賃 × 1.1)です
- 住まいの部屋では、借主・貸主それぞれの上限は原則として家賃の0.5か月分 + 消費税(家賃 × 0.55)。仲介を頼む時点で承諾していれば、1か月分まで払うことがあります
- 家賃8万円なら、合計の上限は8.8万円、承諾していない借主の上限は4.4万円です
- 「仲介手数料無料」の部屋は、合計の上限の範囲で、不動産会社が貸主の側から報酬を受け取っている形が一般的です
部屋を借りるときの初期費用のうち、敷金・礼金と並んで金額が大きいのが仲介手数料です。見積もりに「家賃1か月分」と書かれていて、それが上限どおりなのか、払わなくてよい分が入っているのか迷う人も多いはずです。この記事では、賃貸の仲介手数料の計算方法を、宅地建物取引業法と国土交通省の告示、その運用の考え方にもとづいて説明します。売買の仲介手数料は計算のしかたが違うので、「不動産の仲介手数料はいくら?」を見てください。
上限を決めているのは国土交通省の告示
不動産会社が受け取れる報酬の額は国土交通大臣が定め、それを超えて受け取ってはいけないと決められています(宅地建物取引業法 第46条)。賃貸の仲介(貸借の媒介)について、告示は次のように定めています。
依頼者の双方から受けることのできる報酬の額の合計額は、借賃の一月分の一・一倍に相当する金額以内とする。この場合において、居住の用に供する建物の賃貸借の媒介に関して依頼者の一方から受けることのできる報酬の額は、当該媒介の依頼を受けるに当たって当該依頼者の承諾を得ている場合を除き、借賃の一月分の〇・五五倍に相当する金額以内とする。
(国土交通省告示「宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額」第四)
1.1倍と0.55倍には、消費税(10%)が含まれています。税抜で言い直すと、合計の上限が家賃1か月分、一方の上限が0.5か月分です。
賃貸の仲介手数料の計算方法
計算に使う「借賃」は、消費税を含まない額です。
合計の上限 = 家賃 × 1.1
住まいの部屋で、承諾していない借主(または貸主)の上限 = 家賃 × 0.55
| 家賃 | 合計の上限(借主・貸主の合計) | 承諾していない借主の上限 |
|---|---|---|
| 5万円 | 55,000円 | 27,500円 |
| 7万円 | 77,000円 | 38,500円 |
| 8万円 | 88,000円 | 44,000円 |
| 10万円 | 110,000円 | 55,000円 |
| 15万円 | 165,000円 | 82,500円 |
消費税が課税されない免税事業者の不動産会社では、上限の計算が少し変わります(告示 第十一②)。見積もりの額が上の表と違うときは、計算のもとを聞いてみましょう。
借主と貸主は、どう分けて払うのか
告示の運用の考え方(国土交通省)によると、決まっているのは合計の上限で、その範囲なら借主と貸主からどの割合で受け取ってもよく、一方だけから受け取ってもよいとされています。ただし住まいの部屋は、承諾がない限り、どちらか一方から受け取れるのは0.55倍までです。
家賃8万円の部屋で、ありうる分け方は次のとおりです。
| 分け方 | 借主 | 貸主 | 条件 |
|---|---|---|---|
| 半分ずつ | 4.4万円 | 4.4万円 | 承諾がなくてもよい |
| 借主が全額 | 8.8万円 | 0円 | 仲介を頼む時点で借主が承諾している |
| 貸主が全額 | 0円 | 8.8万円 | 仲介を頼む時点で貸主が承諾している |
| 借主が多め | 6.6万円 | 2.2万円 | 仲介を頼む時点で借主が承諾している |
「承諾」はいつ、どう確かめるか
運用の考え方では、承諾は仲介の依頼を受けるときに得ておく必要があり、依頼のあとで承諾を得ても認められないとしています。申込書や見積もりに「仲介手数料 家賃1か月分」と書かれているときは、いつ、どの書類で承諾したことになっているのかを不動産会社に確認しましょう。
「住まいの部屋」とは、もっぱら住むための建物を指します。事務所や店舗を兼ねる部屋は含まれず、0.5か月分の決まりは当てはまりません。
2社の不動産会社が間に入るとき
部屋を探した会社(借主側)と、貸主から募集を頼まれた会社(貸主側)が別々のことがあります。運用の考え方では、当事者がそれぞれ別の会社に頼んだ場合も、両方の会社が受け取る報酬の合計が上限の範囲でなければならないとしています。会社が2つになっても、合計の上限が2倍になるわけではありません。
仲介手数料が無料・半額の部屋の仕組み
「仲介手数料無料」「仲介手数料半額」の部屋があるのは、合計の上限の範囲なら割り振りが自由だからです。不動産会社が貸主の側から報酬を受け取り、借主からは受け取らない(または少なくする)形が一般的です。
- 貸主の側が払っている:空室を早く埋めたい貸主が、仲介手数料を負担していることがあります
- 貸主から直接借りる:貸主が自分で貸す場合は仲介がないので、仲介手数料はかかりません
- ほかの費用が増えていないか:仲介手数料が無料でも、礼金やほかの項目で初期費用の合計が変わることがあります。比べるときは合計で見ましょう
長く空いている家の特例は、借主の上限を変えない
2024年7月から、長期間使われていない空き家・空き室(長期の空家等)を貸す場合は、貸主の側から多めの報酬(合計で家賃の2.2倍まで)を受け取れる特例ができました。この特例でも、借主から受け取れる額の上限は変わりません。運用の考え方では、入居者を募集している賃貸マンション・アパートの空室は、この特例の対象にならないとしています。
仲介手数料を確かめる・相談するときの手順
- 1申込みの前に、初期費用の明細をもらう仲介手数料の額が「家賃 × 0.55」か「家賃 × 1.1」か、何をもとに計算したかを見る。
- 21か月分なら、承諾の扱いを確認する仲介を頼むときに承諾したことになっているか、どの書類で承諾するのかを聞く。
- 3名目のわからない費用を確かめる案内料・申込料のような費用や、頼んでいない広告の費用が入っていないか。
- 4上限より少ない額を相談する決まっているのは上限なので、少ない額で合意することは問題ない。応じるかどうかは会社しだい。
不動産会社は、事務所ごとに見やすい場所へ報酬の額を掲示しなければなりません(宅地建物取引業法 第46条第4項)。店舗で相談するときは、掲示も確かめられます。
事務所・店舗を借りる場合
事務所・店舗には0.5か月分の決まりがなく、合計で家賃1か月分(+消費税)の範囲で分け方は自由です。家賃に消費税がかかる場合は、税抜の家賃で計算します。また、住まい以外の賃貸で、返還されない権利金(礼金など)を受け渡すときは、権利金の額を売買の代金とみなして計算することもできます(告示 第六)。
まとめ
- 賃貸の仲介手数料の上限は、借主と貸主の合計で家賃 × 1.1
- 住まいの部屋では、仲介を頼む時点で承諾していなければ、借主の上限は家賃 × 0.55
- 承諾は依頼のときに得る必要があり、あとからの承諾は認められない
- 2社が間に入っても、合計の上限は同じ。無料の部屋は貸主の側が払っている形が一般的
仲介手数料以外の敷金・礼金・前家賃などの計算例は「賃貸の初期費用の内訳と抑え方」で説明しています。
ナラウルは不動産の仲介を行わないため、仲介手数料を受け取ることはありません。
参考にした資料
- 宅地建物取引業法 第46条(報酬)(e-Gov 法令検索)
- 国土交通省告示「宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額」(昭和45年建設省告示第1552号。最終改正 令和6年6月21日国土交通省告示第949号)
- 国土交通省「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」(令和8年4月1日施行版)第46条第1項関係
※ 2026年10月時点の制度にもとづく一般的な説明です。個別の金額は不動産会社にご確認ください。
よくある質問
- Q賃貸の仲介手数料はどうやって計算しますか?
- A借主と貸主から受け取る額の合計の上限は、家賃(税抜)× 1.1です。住まいの部屋では、仲介を頼む時点で承諾していなければ、借主の上限は家賃 × 0.55です。家賃8万円なら、合計の上限は8.8万円、借主の上限は4.4万円になります。
- Q家賃1か月分の仲介手数料を請求されました。違法ですか?
- A仲介を頼む時点で借主が承諾していれば、家賃1か月分(+消費税)まで受け取れます。国土交通省の運用の考え方では、承諾は依頼を受けるときに得ておく必要があり、依頼のあとの承諾は認められないとしています。承諾の扱いを不動産会社に確認してください。
- Q仲介手数料が無料の部屋があるのはなぜですか?
- A上限は借主と貸主の合計で決まっていて、その範囲なら割り振りが自由だからです。不動産会社が貸主の側から報酬を受け取り、借主からは受け取らない形が一般的です。
- Q仲介手数料は値引きの相談ができますか?
- A法律で決まっているのは上限なので、それより少ない額で合意することは問題ありません。応じるかどうかは不動産会社の判断です。
- Q不動産会社が2社入ると、仲介手数料も2社分かかりますか?
- A国土交通省の運用の考え方では、借主と貸主がそれぞれ別の会社に頼んだ場合も、両方の会社が受け取る報酬の合計が上限の範囲でなければならないとしています。
サムネイルのイラストは AI で生成したイメージです







