マンションは「売却前提」で買う時代?5割超の調査の読み方と、買い時・資産価値が下がりにくい部屋の条件

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この記事のポイント

  • 東京圏でマンションを売った人への調査で、自宅用に買った人の51.9%が「いずれ売却しようと思っていた」と答えました。ただしこれは実際に売った人に聞いた数字で、買った人全体の5割ではありません
  • 「売却前提」がうまくいったのは、2025年まで価格が上がり続けたからです。2026年は中古マンションの成約価格が前年を下回り始め、金利も上がっています。出口(売るとき)の条件は変わりつつあります
  • 買い時は相場の天井・底で決めず、金利が上がっても払える返済額か、何年後にいくらで売れればローンを返せるかから逆算するのが確実です
  • 資産価値が下がりにくい部屋の条件は、駅からの距離・住宅ローン控除の対象になる広さと築年・管理の状態・貸したときの家賃。買う前に「次の買い手の目」で確かめましょう

「マンションは住むためだけでなく、いずれ売ることを前提に買う」。そんな考え方が首都圏で広がっていることを示す調査が話題になりました。この記事では、その調査の中身と読み方、そして2026年のいま「売却前提」で買うなら何を確かめておくべきかを、公的なデータと試算で整理します。

「売却前提」5割超の調査を読み解く

調査は、不動産情報サイトを運営する LIFULL が2026年7月に行った「東京圏のマンションの売却に関する意識調査」です。

項目内容
調べた人過去3年以内に東京圏のマンションを売った25〜69歳の男女 507人
時期・方法2026年7月17日〜23日、インターネット調査
自宅用に買った人の購入時の考え「いずれ売却しようと思っていた」51.9%(前回45.4%)、「ずっと住もうと思っていた」32.1%
住んでいた期間「1年以内」が24.0%で最多。5年以内に売った人は合計60.5%
売却益プラスだった人 71.0%(前回62.1%)。「+2,000万円以上」が19.0%で最多
売却のきっかけ(上位)「不動産価格が上がっていたので高く売れそうだと思った」33.5%、「維持費の高さ」19.9%

それでも、この調査からは2つのことがはっきり読み取れます。ひとつは、自宅を「値上がりしたら売る資産」として見る人が増えていること。もうひとつは、その考え方がここ数年、価格の上昇に支えられてうまくいってきたことです。売った人の7割が利益を出し、半数近く(47.0%)が1,000万円以上の利益を得ています。

売却前提が広がった背景

中古マンションの価格が上がり続けた

東日本不動産流通機構(東日本レインズ)によると、首都圏の中古マンションの成約価格は、2026年4〜6月期まで55四半期(約14年)続けて前年同期を上回りました。国土交通省の不動産価格指数でも、全国のマンション(区分所有)は2025年12月に225.1(2010年平均=100)と、15年でおよそ2.25倍の水準です。

新築の「短期売買」も増えた

国土交通省が不動産登記の情報から調べたところ、東京23区で2024年1〜6月に保存登記された新築マンションのうち9.3%が1年以内に売買されていました。都心6区では12.2%です。一方、海外に住所がある人による短期売買は23区の短期売買全体の1.3%(2024年1〜6月)で、短期売買の大半は国内に住む人によるものでした。

東京23区の新築マンション2023年2024年1〜6月
1年以内に売買された割合(23区)5.7%9.3%
同(都心6区)7.1%12.2%

※ 保存登記の時期で区切った割合。国土交通省「不動産登記情報を活用した新築マンションの取引の調査結果」(2025年11月25日公表)より。

ただし2026年は「出口」の条件が変わりつつある

売却前提の買い方は、買ったときより高く売れることが前提です。その前提に、2026年に入って変化が出ています。

変化数字(首都圏の中古マンション、東日本レインズ)
成約㎡単価が前年を下回り始めた2026年8月 81.60万円、前年比▲3.8%(4か月連続の下落)
売り出し価格との差(ワニの口)が開いた新規登録㎡単価 116.81万円との差は35.21万円。1年前の約3倍
売れる数が減り、在庫が増えた成約件数 前年比▲10.5%、在庫件数 同+8.2%
東京都区部でも成約㎡単価が下落132.69万円、前年比▲0.3%(76か月ぶりの下落)

東京都区部の築年数ごとの動きを見ると、2026年4〜6月期の成約件数は築5年以内で前年比▲19.7%、築6〜10年で▲25.1%と、築浅の取引が大きく減っています(築30年超は▲6.2%)。価格の高い築浅の部屋ほど、買い手が付きにくくなっている可能性があります。

売り出し価格と成約価格の差がなぜ開くのか、売る側から見た話は「マンションが売れないのはなぜ?「ワニの口」で読む価格の今後」でくわしく説明しています。

買い時はいつ?「暴落待ち」を考える前に

「もう少し待てば下がるのでは」と考えるのは自然です。実際、成約価格は下がり始めています。ただし、待つことにもコストがあります。

待つ間に起きうること買う人への影響
価格が下がる同じ部屋を安く買える
金利が上がる同じ返済額で借りられる額が減る(下の試算)
家賃を払い続ける住居費は出ていく。家賃の分だけ価格の下落と相殺される
年齢が上がる完済の年齢が上がり、借りられる期間が短くなることも

年収800万円の世帯が年収の25%を返済にあてて35年で借りる場合、金利1.2%なら約5,714万円、2.2%なら約4,879万円が借りられる額の目安です(元利均等返済、金利が変わらない前提でナラウル編集部が計算)。価格が1割下がっても、その間に金利が1%上がれば、借りられる額はそれ以上(約15%)減ることになります。

買う前に確かめたいこと

  1. 1金利が上がっても払える返済額かいまの金利だけでなく、1〜2%上がった場合の毎月の返済額でも家計が回るか。
  2. 2何年後にいくらで売れればローンを返せるか売る可能性がある時期のローン残高と、売るときの費用を足した額を知っておく。
  3. 3その場所に何年住むつもりか住む期間が短いほど、価格の上下と売買の費用の影響が大きくなる。

順位の考え方: 買ったあとに取り返しがつきにくいものから順に、編集部が並べた

金利上昇シミュレーション:5,000万円を借りたら

住宅金融支援機構の調査(2026年1月)では、2025年4〜9月に住宅ローンを借りた人の75.0%が変動型を選び、73.7%が「今後1年で金利が上がる」と見ていました。変動型を選ぶなら、金利が上がったときの返済額を一度計算しておきましょう。

金利毎月の返済額35年間の利息の合計
1.2%約14.6万円約1,126万円
1.7%約15.8万円約1,638万円
2.2%約17.1万円約2,174万円
2.7%約18.4万円約2,734万円
3.83%約21.6万円約4,085万円

※ 借入5,000万円・35年・元利均等返済・ボーナス返済なし。金利が35年間変わらない前提でナラウル編集部が計算。

参考までに、2026年10月時点の金利は次のとおりです(2026年10月5日確認)。

  • 日銀の政策金利:1.25%程度(2026年9月24日から)
  • 【フラット35】(返済21〜35年・融資率9割以下):3.83%。比べられる2017年10月以降で最も高い水準
  • 三菱UFJ銀行の変動金利(新規借入の最も低い適用金利):1.195%、10年固定:3.75%(同行の公表)

1.2%で借りて5年後に2.2%に上がった場合、残り30年の毎月の返済額は約14.6万円から約16.7万円に増える計算です。多くの銀行の変動金利には、返済額の見直しを5年ごとにし(5年ルール)、見直し後の返済額を前の1.25倍までにする(125%ルール)仕組みがあります。ただし、返済額が抑えられても利息が減るわけではなく、元金の減り方が遅くなります。仕組みがない銀行もあるので、契約前に確認しましょう。

出口から逆算する:いくらで売れれば損をしないか

売却前提で買うなら、「何年後に、いくら以上で売れればいいか」を先に計算しておくと判断がぶれません。6,000万円の部屋を、頭金600万円・借入5,400万円(金利1.2%・35年)で買った場合の例です。

売る時期ローン残高ローンを返しきれる売却価格頭金と購入時の仲介手数料まで取り戻せる売却価格
5年後約4,760万円約4,929万円(購入価格の82%)約5,762万円(同96%)
7年後約4,493万円約4,654万円(同78%)約5,486万円(同91%)
10年後約4,081万円約4,227万円(同70%)約5,059万円(同84%)

※ 売るときの仲介手数料(上限の「価格×3%+6万円」+消費税)だけを差し引いてナラウル編集部が計算。購入時の仲介手数料は約204.6万円。登記費用・ローンの手数料・印紙税・税金、住んでいる間の利息・管理費などは含みません。金利は35年間1.2%のままの前提です。

5年で売る場合、買った価格の1割下で売れても、頭金はほぼ戻りません。調査で「5年以内に売った」人が6割いたように短期で売る可能性があるなら、価格が横ばい〜少し下がっても困らない資金計画にしておくことが大切です。仲介手数料の計算は「不動産の仲介手数料はいくら?」、売ったときの税金は「マンション売却の税金はいくら?」で説明しています。

資産価値が下がりにくい(売りやすい)マンションの条件

「資産価値が下がらないマンション」は存在しませんが、次に買う人が見つかりやすい部屋の条件はあります。次の買い手の目で見ると、確かめることが具体的になります。

条件次の買い手から見て確かめ方
駅からの距離ポータルサイトでは「駅徒歩◯分以内」で絞り込まれることが多い実際に歩いて、坂や信号も含めて確かめる
住宅ローン控除の対象になる広さ2026年以降に入居する中古住宅は、原則床面積50㎡以上(合計所得1,000万円以下なら40㎡以上。子育て世帯等の上乗せを使う場合は50㎡以上)判定は登記簿の床面積。広告の面積(壁の中心で測った面積)より小さく出るので、登記簿で確認する
築年1982年以降に建てられた住宅は、住宅ローン控除で新耐震基準に適合しているものとして扱われる建築年を登記簿・重要事項説明書で確認する
管理の状態修繕積立金の不足や一時金の予定は敬遠されやすい長期修繕計画、積立金の残高、値上げの予定、管理組合の議事録
貸したときの家賃売れないときに「貸す」という逃げ道があるか近所の同じくらいの部屋の家賃を調べる

管理費・修繕積立金は上がり続けています。東日本レインズによると、2025年度に首都圏で成約した中古マンションの修繕積立金は月平均13,910円で、前年度より5.6%上がりました。買う時点の金額だけでなく、長期修繕計画で将来いくらになる予定かまで見ておきましょう。

中古を買ってリフォームする場合は、購入前にリフォーム費用の目安をつかんでおくと、総額で比べられます。

「貸す」出口も試算しておく

売れないときや、住み替えても手放したくないときに、貸すという出口があるかどうかは安心材料になります。ただし、首都圏の平均で見ると利回りは高くありません。

東京都区部の平均(参考)数字
中古マンションの成約㎡単価(2026年8月)132.69万円
マンションの賃料の㎡単価(2026年4〜6月の賃貸成約)月3,899円
家賃 ÷ 価格(表面利回りの目安)約3.5%
年間の管理費・修繕積立金 ÷ 成約単価(2025年度)約0.44%

※ 東日本レインズの公表データからナラウル編集部が計算。売買と賃貸は別々の物件の平均なので、あくまで目安です。固定資産税・空室・管理会社への手数料・税金は含みません。

固定金利が3%台後半になったいま、ローンを組んで買った部屋を貸すと、家賃で返済をまかないきれないこともあります。また、住宅ローンは自分が住むための融資なので、貸すときは金融機関への相談が必要です。くわしくは「マンションは売るか貸すか?」で説明しています。

まとめ:「売却前提」は、売れなくても困らない計画とセットで

  1. 1金利が1〜2%上がった場合の返済額を計算する変動型なら、5年ルール・125%ルールの有無も確かめる。
  2. 2売る可能性がある時期のローン残高と、損をしない売却価格を出す価格が横ばい〜少し下がっても困らない資金計画にする。
  3. 3次の買い手の目で物件を確かめる駅からの距離、登記簿の床面積、建築年、修繕積立金の計画、貸したときの家賃。

いま住んでいる部屋を売って買い替えるなら、まず今の部屋がいくらで売れそうかを知ることが出発点です。ナラウルのカチミルは、国の取引データから参考価格を無料で出せます。売ると決めていなくても使えて、不動産会社から電話がかかってくることもありません。

参考にした資料

  • LIFULL「東京圏のマンションの売却に関する意識調査」(2026年7月17日〜23日実施)
  • 国土交通省「不動産登記情報を活用した新築マンションの取引の調査結果」(2025年11月25日公表)
  • 国土交通省「不動産価格指数(令和7年12月・令和7年第4四半期分)」(2026年3月31日公表)
  • 東日本不動産流通機構「月例速報 Market Watch サマリーレポート 2026年8月度」(2026年9月10日公表)、「季報 Market Watch サマリーレポート 2026年4〜6月期」(2026年7月17日公表)
  • 東日本不動産流通機構「首都圏中古マンション・中古戸建住宅 地域別・築年帯別成約状況(2026年4〜6月)」「首都圏賃貸居住用物件の取引動向(2026年4〜6月)」(2026年7月17日公表)「首都圏中古マンションの管理費・修繕積立金(2025年度)」(2026年5月28日公表)
  • 住宅金融支援機構「住宅ローン利用者の実態調査(2026年1月調査)」、【フラット35】2026年10月の借入金利
  • 日本銀行「金融市場調節方針の変更について」(2026年9月18日)
  • 三菱UFJ銀行 住宅ローン金利(2026年10月)
  • 国土交通省「住宅税制(住宅ローン減税)」、国税庁 タックスアンサー(住宅借入金等特別控除)

※ 数字はいずれも2026年10月5日に確認しました。将来の価格や金利を予想・保証するものではありません。借入や購入の判断は、金融機関・不動産会社・税理士などの専門家にご相談ください。

よくある質問

Qマンションを売却前提で買う人は本当に5割もいるのですか?
ALIFULL の調査(2026年7月)では、過去3年以内に東京圏のマンションを売った人のうち、自宅用に買った人の51.9%が購入時に「いずれ売却しようと思っていた」と答えました。実際に売った人に聞いた数字なので、マンションを買う人全体の5割という意味ではありません。
Qマンションの買い時はいつですか?
A相場の底を当てることは誰にもできません。金利が1〜2%上がっても払える返済額か、売る可能性がある時期にいくらで売れればローンを返せるか、何年住むつもりか、の3つがそろったときを自分の買い時と考えるほうが判断を誤りにくくなります。
Q資産価値が下がりにくいマンションの条件は?
A次に買う人が見つかりやすいことが条件です。駅からの距離、住宅ローン控除の対象になる床面積(登記簿の面積で原則50㎡以上、所得などの条件により40㎡以上)と築年(1982年以降)、修繕積立金と長期修繕計画の状態、貸した場合の家賃を確かめましょう。
Q変動金利で借りて金利が上がったら、返済額はどれくらい増えますか?
A5,000万円を35年で借りる場合、金利が変わらない前提の毎月の返済額は、1.2%で約14.6万円、2.2%で約17.1万円です。1.2%で借りて5年後に2.2%に上がると、残り30年の返済額は約16.7万円になる計算です(5年ルール・125%ルールがある場合は返済額の上がり方が抑えられますが、利息は減りません)。

サムネイルのイラストは AI で生成したイメージです

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